「1点」「1アウト」の重み

 4月になりそれぞれ学年が1つずつ上がりました。まだ新学年の呼び名に私たちも子供たちも慣れないわけですが、それぞれが1つづつ階段を上るタイミング・・・また新しい気持ちでチーム活動を行っていきたいと思います。対外試合が解禁されて1か月を経ましたが、中々思うような試合運びができなかったり、ケガでなかなか戦力が整わなかったり、私たちがそうしてした成長が見えない部分もあって苦しい上級生チーム、、、私たち指導陣は子供たち以上に苦しい胸の内があります、、、先週は雨で練習が中止だったこともあり、この一か月を振り返りながらちょっとした意見交換を行いました。改めてこのチームを結成してからを振り返れば、やはり少人数制で替えの利かないメンバーで、実力は十人十色の限られた戦力と練習時間では、子供たちに求められるものの限界はあるということを再認識し、成長曲線の異なる環境であれば同じ学年同士でも野球というゲームにおいて差は生まれるということを改めて自覚しました。もちろん差を縮めることができないわけではありませんが、それは子供の自発的な成長があってのこと・・・受け身であればそこまでの成長しかないわけで、そこに介入して成長と結果を求めることはそれは子供にとって酷なことしかありません。。。もちろん私たちは子供たちが「勝利」というものに喜びを感じると思い、それを追い求めさせることが最終学年の子供の期待に応えることだと思って取り組んだ1ヶ月ですが、同じ成長曲線ではない相手との戦いに対等なものを無理に求めるのではなく、それぞれの子供たちがそのレベルにおいて出来ることをやってもらい、それが「勝利」という結果につながれば最高!という形が現状は最善というように少し視点を変えることにしました。NEXUSはまだまだ日の浅いチーム、数々の経験をブラッシュアップし、さらにチームが子供たちにとって楽しい野球の思い出となるように、私たち指導者も自発的な成長を進めていかなければなりません。正直「結成したときに抱いた以上に、育成とは難しいものだなぁ」というのが私たちの感想です。今の最上級生はその手探りの中で実験台になってしまっているのは申し訳ありませんが、子供たちも私たちも一緒に成長し、それが後輩の一層の成長につながることを信じ、前を向いて進んでいきたいと思います。


 そんな気持ちも新たに迎えた4月の初戦は、あじさいリーグ第4戦。下麻岡少年野球団さんにお招きいただき、試合を行いました。試合前には監督やコーチから、勝ちだけにこだわらず、これまでやってきたことを一生懸命やってみようと全体に声をかけ、個々にはそれぞれに頑張ってほしいことを伝えながら試合に臨みます。試合は相手先発投手が序盤中々調子が出ない中で、先取点をとるものの走塁ミスもあり大量点とまではいかず・・・裏の守備でもミスから失点を取られるという苦しい展開。それでもそれぞれが自分にできる最善を実行しながらなんとか点差を離されずに食いついていく子供たち。0点に抑えて迎えた5回にはヒットに足を絡めて同点まで追いつきます。その後も何とか抑えて迎えた最終回、攻撃はファウルで粘りながらも抑えられ、逆に守りでは先頭打者を出すものの何とか2アウト2塁までこぎつけますが、最後に外野にボールを打たれて悔しいサヨナラ負けとなりました。


 私たち指導者から見れば、今日の試合は子供たちにとって良い勉強となる試合であったと思いますが、試合後の子供たちの表情はそれぞれでした・・・その表情の差は、最初にコーチが求めたそれぞれが自分の描いたプレーができたかどうか?それが勝利につながったかどうか?ということだと思います。打たれても納得のいく野球ができて楽しかったという子もいれば、良いと思えることが1つもなかったとうなだれている子供もいました。私たちは個々によかった悪かったと評価することはありませんが、今日の試合、冷静に見ればたくさんのミスで取れた点を逃し、そして失点を許しています。外野に飛んだ10本以上の打球が1つでもアウトにできる処理ができていれば、1イニング3盗塁死なんてドラマでもないようなことも(笑)・・・10点差ゲームでは点差にかき消されてしまう小さなミスも、こういうヒリヒリした展開では、チームに重くのしかかる事実を子供たちがどうかみ砕いてくれるかは、自発的な部分として子供に預けたいと思います。よく動けていた子ほど悔しさが大きいようでしたが、その悔しさの原因を口に出すことも時に必要と思います(他人にやさしくすることがNEXUSでの振舞の基本として子供たちに身についていますが、できるはずの改善点を子供同士でしっかり求めることも時として必要なのではないでしょうか?)。


 コーチ目線からすればこの1点差ゲームを勝ちにつなげるために何が必要かそれぞれがしっかり振り返ってほしいです。そういう意味で今日は、そのお手本となるような選手像が下麻岡少年野球団の子供たちに見えました。勝利を求めチームを鼓舞する姿勢、勝った時のキャプテンの涙はとても美しく称えたく思える姿でした。NEXUSの子供たちにも一丸となってこういう気持ちが持てれば、もっともっと前向きに試合や相手にチャレンジしていけるはず・・・実は相手選手の1人は、NEXUSのピッチャーと水泳教室が一緒で、お互いがどこのチームかは知らずにプールのお風呂で野球談議をしていた仲とか・・試合後に改めて会話を交わしたそうでそういったコミュニケーションが取れることも素晴らしいですね、それにしても出会いとは不思議なものです。下麻岡少年野球団の皆様、今日はグランドの準備やお相手ありがとうございました。いろいろと勉強になりましたし、子供たちはもう一度勝負してみたいと珍しい声も聞こえました。素敵な思い出をどうもありがとうございました。


 午後からは試合が無かった4年生以下を対象に練習を行いました。最初に戻りますが、上級生になってしっかりと野球ができるようなるために、中学年の時期に土台となる基礎的な技術をきちんと身に着けさせることが重要という認識を指導陣は持ち始めています。初期段階は技術に関係なく全力プレー全力投球全力疾走で楽しませながら、中期に入ったら一定の基礎と基本技術は矯正していかないと上級生で取り戻すのは難しいということです。上級生の練習がなかったこともあり、コーチやお父さんがしっかりついて、基本技術に立ち返りながらNEXUSらしい練習に元気よく取り組んでくれました。練習後のコーチ間の会話が、「なんだかこういう練習が懐かしいよねぇ・・・以前の子供たちには伝えられなかったことが今の子供たちには伝えられているはず・・・」この時期の1つ1つの練習の成果が2年後の子供たちの成長につながることを信じてチームはそれぞれ前に進んでいくしかありません。今日の試合のように野球らしい野球が何回もできるようにみんなで頑張っていきたいですね。

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