「アタマ」で考えて「声」にする

 半袖の子もちらほら見える中、周囲からたくさんのくしゃみも聞こえる春特有の陽気となりました。今日も学年を分けた練習です。NEXUSの指導者も子供が卒業を迎え、NEXUSの活動と家庭(子供)の対応とNEXUSと家庭が連動しないことが増えつつあります。監督やコーチも来れたり来れなかったり・・・でもNEXUSは出来る人で出来ることをやる。もちろんお父さんたちが揃えば手伝ってもらって普段と変わらない練習もできます。いつも誰かがいなきゃいけない、何人いないと練習できないではなく、やれる人でやれる練習をやろう!が私たちの考え方です。今日もいつも目にする指導者が少ない日でしたが、たくさんのお父さんに手伝ってもらいながらの練習となりました。


 前半の低学年練習では肩体操、ベースランニングなどで体をほぐした後は、キャッチボール。コーチが外から学んだメソッドを少しずつ子供に伝えて子供たちに良い投げ方を小さいのうちに学んでもらいたいと思っています。NEXUSの低学年の練習では、投げること、捕ることに集中できるよう、できるだけお父さんにキャッチボールの相手をしてもらっています。公園で親子練習する際にもお父さんも子供に教えてあげやすくなる効果もありますし、この時期にしか味わえないかもしれない親子で一緒に野球を楽しむという時間も作ってあげることができます。そのあとはノック、今日はコーチ陣が少ないなか、お父さんがノッカーやキャッチャーなど、手が届かない部分をしっかりフォローしてくれました。


  最後は、Tボール試合ですが、今回はいつもと違い、各ベースには大人についてもらい、子供は捕ったらそのベースにいる大人に送球してアウトを取るというルール。目的はゲームにおいて、守備をする子供達には技術的な部分を磨くのではなく「アタマ」の部分を磨く場にしたいということ。様々なシチュエーションに対して、次に何をしてアウトを取るのかを考えてプレーしてほしい。全体で次のプレーを考えて声にして同調してアウトにしていくことができれば、個ではアウトがとれなくても、チームとしてアウトが取れるようになるわけです。そこにベースカバーなど自分も動かなきゃいけない部分を増やしてしまうと「声」を出す部分が欠けてしまう・・・そういうわけで子供たちは捕ってどこに投げるかを意識して守備についてもらうという取り組みで試合をしてもらいました。もちろん、普段は大声を張り上げる私も、黙って子供たちの動きを見つめるために必死にのどの先まで出かかった声を抑えてました(笑)。はじめは声がほとんどしない中で、ちょっとずつ自分が声で指示をすることでプレーする子が動きやすくなることを感じ始めたのでしょうか?自身はなくとも少しずつ「サード」とか「バックホーム」とか声が出てくるようになってきました。最後はフライに飛び出したサードランナーに気づいた周りの声に反応した選手が捕球後にサードにしっかり送球してゲッツーなんて場面も・・・子供達には間違ってもいいから、自分だったらこう動く、こうやりたいという部分を声に出すようにしてほしいと思っています。小さいうちにその癖をつけることが大事なのでは?これは私たちのまた新しい取り組み、少し継続していきたいと思います。実はこのテーマここまでが前編でして、後編は上級生のところで・・・

 最後の反省会で子供たちが面白いことを言っていました。今日の大人がベースにいるのはどう?と聞くと、大人だと安心して思いっきり投げられる・・・いつもは相手が捕れるようにって少し加減してしまいその結果暴投したりアウトに捕れなかったりしちゃうと。子供は子供同士で相手をおもんばかってプレーしているんですね。でもコーチは子供たちに言いました、ってことは、みんながどんなボールも捕れるくらい捕るのが上手くなればいいだねと・・・子供達もなんとなく納得したんだか、しないんだか・・・(笑)。でも私はこの方法きっと効果があるのではないか、と少し自分の発案に満足していたりするわけでした。


 後半は上級生、今日は時間が少ないこともあり、事前にチーム内に紅白戦の実施やメンバーも伝え、少し試合のイメージを出すためにチーム別に着用するTシャツも変えて参加してもらいました。14時半集合時刻前にウォーミングアップをできる子はしておいてほしいとも伝えましたが、ほぼ全員少し早めにグランドにきて、ジョギングや階段トレなど、ホワイトボードに記載しておいたメニューをこなしてくれ14時半にはキャッチボールからスタートできるという私たちが目指す子供たちが自立して野球をする準備をするという部分をしっかり実践してくれました。こういう部分をコーチがケアせずにやれるというのは大きな成長です。


 その後はこちらも試合を意識してシートノックをしてから、紅白戦。今回のテーマは、こちらも低学年同様に子供同士で声をかけて指示を出し合ってプレーを進めるということ。これは攻撃も守備も同じ。私たち指導者は指示を出さずに見守り続けることを子供たちに宣言し、特に新6年生には最上級生の自覚をもって他の子供達にも指示を出し続けるように伝えてゲームをスタートします。今年の冬から集中的に守備や打撃において数を増やすトレーニングを始めて、少しずつ成果も出ている中、断片的にはバットがしっかり振れていたり、守備もしっかりボールを抑えられたりしていますが、フライで飛び出したり、送球が中途半端なバウンドでファーストが捕れなかったり、まだまだ野球として1点や1つのアウトが捕れるまで継続した流れをやり切ることができていませんでした。声の部分も、コーチの事前の声掛けを意識できている子は少しずつ声を表に出せてはいますが、トータルで統一した声出しにはまだ先が長そうです。何より一番の課題は、子供たちが状況に応じた次のプレーを考えることができていないこと。野球は学校のテストではありませんので、飛んできたボールを捕ってから考えてはもう遅いわけです。その状況その状況でそのポジションの子がどういうプレーをすべきかを常に考えて守備についていなければいけないわけです。そういう意味で次の動きを考えることができていない子がほとんど・・・この部分をまずは改善していくことが大事と思わせる試合内容でした。子供たちに伝えたことは、次のプレーをアタマで考えてそれを声に出してみんなに伝えること・・・それを少し繰り返していくことがこの先野球をやっていく中で、このチームで勝利を目指すために必要なのだと思います。


 これは、もちろん子供たちの野球センスという問題ではありません。 最近はプロ野球もテレビ中継することが減り、とにかく子供たちが野球に触れる機会が少なくなっています。ルールやフォーメーションなども私たちはテレビを見て自然に学べていた部分が、youtubeやゲームに流れている現実の中、練習時間の少ないNEXUSでどうやって子供に集中的にそういったことを学ばせるかが大きな課題です。私たちはその部分を大人が子供たちに指示することで穴埋めしようとしてきました。もちろん子供は大人の声に耳を傾けその通りに動けばよいわけで、もちろん一定の結果も出ますが、そのまま上級生や中学、高校と進んでいく中で指示がないと動けない子になってしまう気がしています。バックホームと決めたら、アウトにならないと分かっていてもホームに投げる・・・ではなく、本来は基本はバックホーム、でも間に合わなかったファーストに投げる・・・・野球というゲームの本質を考えれば得点を取られずにアウトを取ることなわけで柔らかい頭を持っていれば自然と何をすべきかわかるのではないのか?そういう動きは子供が頭の中で判断して体が自然と動くようになるべきではないかということです・・・急がば回れ、これはおそらく勝利から遠ざかる取り組みですが、試合は別にしてとにかく練習では「プレーの指示をしない」ことを私たちが心がけ、そのプレーのあるべき姿を私たちがしっかり子供達と振り返って身に着けさせることが大事なのだと思います。


 後半の試合3イニングに2時間かかっているということが物語るように(本当は6イニングやりたかったのです)、まだまだこのチームは、学童野球として未熟な部分はたくさんありますが、それでも楽しそうに頑張って野球をやっている子供たち。この楽しい部分を失わせないように、一緒に頑張っていきたいですね。

0コメント

  • 1000 / 1000